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岩手慰問ライブ 5/5

  • Post on 2011.05.14 11:33
  • Categry : 慰問
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スタッフと話をしても、最初に思ったシビアな部分は完全に消えていた。
「盛り上がってたね!良かったよ、本当にありがとう!」
握手をしながら、もう一方の手で背中を叩く。
漁師町の人は、いったん隔たりを超えると、急に家族みたいになる。
あの熱いおやっさんがやってきた。
「あんたら飲んでる?ちゃんと飲まなきゃだめだよ!黒ビールもあるんだからさ」
「いやいや、僕らは大丈夫ですよ。いつでも飲めるんで……。」
「駄目だって!飲まなきゃ!そんなのはダメダメ!」
一番若い音響のS君は、背中を強く押されて困った顔をしている。
結局断れず、S君はビールを取りに行くことになった。

「あ、そうそう、大道芸もう一回やるでしょ?やっちゃってよ!みんな喜ぶからさ!」
俺は返事をせずに会場を見渡して、次のパフォーマンスを丁重に断った。
「このままの方がいいんじゃないかと思うんで、次はやめておきます」
「なんで、みんな喜んでたじゃん!」
「ここの人がここの人たちだけで楽しめるのが一番良いと思うんですよ」
「うん、そうか。そうだね。ありがとう」

少し経って、会場にポツポツと雨が降り始めた。
主催側はみんなの体を気遣い、少し早いお開きのアナウれる。
帰る人もいたが、雨に濡れてもこの場を離れない人もいるようだ。
演奏中にビールをくれたおじさんが別れを言いにやってきた。
また、「ありがとう」の交換だ。
雨の中、握手とハグ、一緒のことを繰り返しずっと言ってる。
「良いよ、ホント良いよ。頑張ってね!応援してっからさ!」
「もちろんやで!お互いに乗り切ってこう!」
俺たちはずぶ濡れだったが、別れの惜しさがそれを許したのだ。
「俺、また来るから!頑張ろうね!」
「おう、楽しみに待ってっからな!」

雨は止む気配はなかった。
いっそう強くなってきた様子。
濡れてしまった音響機器と楽器、
片づけをしている俺たち4人のチームワークは言うまでもない。
イベント会社のSさん
レンタル屋のMさん
音響のS君。
俺。
帰り道、感じたことをそれぞれで噛みしめていた。

「まあ、今回の慰問、行って良かったんじゃないですか?」
とSさん。
みんなもそれに答える。
「うん、ホント良かったですね」

3日間の予定は、結果1週間も岩手に滞在することになってしまった。
育て上げた「縁」だけを残し、俺はこの地を去った。
飛行機の中、被災者から聞いた言葉がまだ胸に残ってる。


 俺はこの町を世界に見せたいんだよ!
 絶対、世界一の町にしてやっからさ!


この言葉は本物だ。
被災地でもないのに周りが委縮していて何になる。
国の中で互いの主張で、戦っている場合じゃない。

長い年月をかけて彼らの町が元に戻る時まで、
日本を再び世界の頂点にしておかなければならない。
それぞれが、それぞれで、発展を目指せば絶対叶うはずだ。
新幹線のように猪突猛進し、
東京タワーのように高々と。

敗戦後の高度成長期を再び!

このままでは彼らの元気が、もったいない。




終わり。






出会ったみなさん、ありがとう!
最後まで読んでくれたみなさん、ありがとう!






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岩手慰問ライブ 4/5

  • Post on 2011.05.13 20:09
  • Categry : 慰問
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元々カラオケの音量は小さい。
コンパクトな機械だったため出力が足りないのだ。
そこでレンタル屋のMさんと音響のS君が機転を利かせ、
持ってきた音響から音を出すようにセッティングをした。
カラオケにはもったいないほどの高音質と大音量が溢れだす。

俺は汗を拭いて、近くで目があったボランティアの方に声をかけた。
「良い雰囲気ですね」
「ほんとですよ」
すると少し離れた所から、もう一人別のボランティアがやってきた。
「僕、ファニーさんのパフォーマンスを前に見たことがあるんですよ」
「え、ホント?どこで?」
「フジロックでずっとやってたでしょ」
「おお!そうなん?これはこれはお久しぶり!」
「俺、東京で海関係の仕事してたけど、辞めてここに来たんです」
「へえ、頑張ってるね!」

すると、もう一人のボランティア・スタッフも口を開いた。
「実は僕もファニーさん、見た事ありますよ」
「え?ほんまですか?どこで?」
「僕、埼玉からきたんですよ」
「もしかして鴻巣の人形祭り?」
「はい、そうです。その時に名刺ももらいましたよ」
「いや~~、すげえ!こんなことってあるんや。縁ってやつやな!」
「あはは、ホントですね~」

会場では歌いたい人は歌い、
語りたい人たちは酒を飲みながら、円陣を組んで盛り上がっている。
「縁」でつながった「円」がそこらじゅうに散らばっている。
そして俺たち3人の輪もまた、その中の仲間入り。
楽しませてもらった。

彼らと別れると、お客さんにも声をかけられる。
ヤンマーの帽子をかぶったおじいちゃん。
「ワシは大工やってたけど、すごい職人技だね~。あれ作ったの?」
「うん、作ったよ!今度はおじいちゃんにも手伝ってもらわなあかんね」
「いや、ワシャ楽器は無理だ。あははは」
「あはは、また違うわなあ。ほいでもさ」
「うん?」
「ここも家をいっぱい建てなあかんから、大工なら長生きせなあかんな!」
「あははは、そうだねえ。また家作らなきゃねえ」
握手した手はごつく、それは職人の手だった。
グローブのように太い指はいかなる困難を握りつぶす力を持っているだろう。
ただ、俺の手の感触はとてもやさしいように感じる。
俺は昔からごつくてやさしい、こんな手が好きだった。
最も憧れる手をおじいちゃんは持っていたのだ。

演奏中に盛り上がってくれた奥さんが、目の前の炊き出しに並んでる。
「さっきはどうもありがとう!」
「いえいえ、こちらこそどうも。主人もいれば、ぜったい喜んだのに!」
少し迷って聞いてみた。
「今日は見えないんですか?」
「うん、そうなの。今、自衛隊で頑張ってるから」
へっぽこ芸人でも、ちゃんと敬礼をした。
「自衛隊にはホント感謝だね。すべての日本人はそう思っていますよ。絶対に」
「ホントですね。伝えておきます」
「ご自宅の電気は復旧されているんですか?」
「え?もう大丈夫ですよ」
「インタ―ネットとかは?」
「はい、私のところはもう」
「ならば時間のある時、動画をご主人と見てくださいよ」
「あはは、分かりました。それは喜ぶと思います」
足もとで子供が二人飛び跳ね、じゃれ合っている。
「お父ちゃん、すげえな!格好ええな!」
そういうと子供たちは深くうなずいた。

俺の父親も定年まで自衛隊に務めあげた人だ。
規律でがんじがらめで真面目な人だが、面白みがない。
堅く厳しい父親のことを、大嫌いだった時期もあった。
部活をサボったのがばれて、袋叩きにされた事や、
怒ってその辺の文房具を投げられた事もある。
その中にはコンパスも入っていて、ガラスが割れたっけな。
まあ、むちゃくちゃだ。
どんな遺伝子かわからないが、ガチガチの親に、フニャフニャな俺。
でも自衛隊であった父親のことを、今は誇りに思っている。
もちろんそんな父を支えながら育ててくれた母親も、ね。

今目の前にいる子供たちには、自衛隊の父親像はどう映るのだろう。
たぶん、当時の俺みたいなつまらん印象ではないはずだ。
きっと仮面ライダーよりも、ジャックバウアーよりも
ヒーローになっているに違いない。
そんな気持ちとともに、
俺はその子供の頭をなでていた。





5/5に続く……。


岩手慰問ライブ 3/5

  • Post on 2011.05.12 20:17
  • Categry : 慰問
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炊き出しは12時前からスタート、15時まで行われる。
大道芸は最初と終了に2ステージをすることになった。
当然、シビアになっている関係者もいるように感じる。
やはり俺たちは所詮よそもので、被災したわけではない。

全員から歓迎されているとは思ってはいけないのだ。
やらない方が良いと判断したら、自主的にやめる。
その心構えは持っていた。

テントから香ばしい匂いが会場を包む。
今回の慰問は、「こどもの森」で屋台を出していた肉屋さんが仲介してくれた。
Sさんと打ち合わせをしながら、実現にいたった。
岩手のワイン会社もテントを出している。
そこを通るとなぜかスタッフに声をかけられた。
 
 こんにちは、
 実は私、家族と一緒にこどもの森でファニーさんの芸を見てたんです。
 あの芸なら皆さんも、絶対喜んでくれますよ!私も楽しみにしています!

そんな言葉に気持ちが高ぶる。
12時にはまだなっていないが関係者が集まり、
少し早い目に開会式が始まった。

挨拶をする関係者、形式的なものはここには無く、
楽しもう、ただそれだけ。

12時を少し回った頃、俺の準備が整った。
深呼吸した後、ギターをひと鳴らし、
少し枯れ気味の大声で自己紹介をする。
 みなさんこんにちは!
 私はワンマンバンドという大道芸をやっている、ファニートンボです。
 今回、この山田町で大道芸できることを誇りに思います。
 俺がやることっていったら……、
 まあ、見たまんまのことやります。
 どうぞ楽しんでいってください!

お客さんの小さな笑い声が聞こえたが、距離を感じる。
まだ、始まったばかりだ。
そう自分に言い聞かせて、挨拶代わりのインストの曲を奏でた。
前列のお父さんが、ワンマンバンドに手を叩くと、
周りもそれが移ったように少しずつ広がった。

いよいよ本番、「上を向いて歩こう」が一曲目
会場を練り歩きながら演奏すると、一緒に歌ってる人もいる。
仕組みを見ている人もいる。
お客さんと俺の間に歩み寄るところが見えてきた。
俺の目的はその壁を壊すことのみだ。

演奏を続けると徐々に盛り上がっていく。
狭いベンチの間を俺が通ると、子供が俺のドラムを叩く音がする。
振り返るとその子供と目が合う。その顔は笑ってた。
徐々に盛り上がりを見せる中、俺もすっかり楽しんでいる。
被災地だからどうとか、ここの人らには逆に面倒臭くさいだろう。
誰か来る度に、毎回同じ質問をされているのだろう。
こちらが気を使えば、相手も気を使う。
へんにその姿は見せない方が良い。

まだショーは中盤だが、その壁は壊れていた。
今、岩手の桜はちょうど満開の時期だ。
盛り上がりは「花見」の祭りのよう。

練り歩くと一人のおじさんが、ビールを俺にさし出す。
「ほれ、飲め!」
俺はイッキしたかったが、3,4口にとどめた。
「まだ駄目だ!飲め、飲め!」
その後も目の前を通る度に、おじさんは俺に酒を進め、
それにこたえると周囲で笑い声が響いた。

しばらく練り歩いていると別のおじさんが声をかけた。
「俺、歌うたいたい」
「何の曲を歌う?俺できるかな……。」
別の人が説明する。
「いやいや、この人がカラオケで歌いたいんだって」
あ、そういうことか……。

山田町の人々は強いな。
周りの助けなど必要なかったのかも知れない。
俺自身も本人たちが楽しめるならそれが一番だと思った。
「あ、そうか。わかった。それじゃあ大道芸終わるね」
俺はお客さんに向けて別れの挨拶をする。
「それでは私のパフォーマンスをこれにて終了させてもらいます。
みなさんも存分に歌って楽しんでください。本当に有難うございました」

俺の一礼に拍手が起こり、去ろうとしたその瞬間、ビールのおじさんが大声で叫んだ。
「アンコール! アンコール!」
周りのお客さんも一緒になって言いだした。
「アンコール! アンコール!」
「いや、まいったな。こんな時って、どうすりゃええんやろかなあ……?」
頭をかきながら困ったそぶりを見せる俺に、また笑いが起こる。
少し考えて、歌いたいというおじさんにいう。
「じゃあ、ごめんね。ホントにこれが最後、よければ一緒に歌おう」
おじさんが頷いた後、短めの「見上げてごらん夜の星を」。
おきまりのネタ、夫婦に手を繋いでもらい、ほっぺにキス。
「ほんまにキスしよったで!!拍手をよろしく!!」
みんなの拍手と笑い声が大きく響き、
シャボン玉がその笑いの渦を見事にはじかせる。

盛り上がりは沸点に到達。
最後に頭を下げ、終了した。





4/5に続く……。





岩手慰問ライブ 2/5

  • Post on 2011.05.10 20:31
  • Categry : 慰問
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慰問2日目

8時に盛岡を出る。
向かうはもと三陸町だった山田町。
今日は炊き出しが振る舞われ、その場所にてワンマンバンドをする。
昨日の復興食堂は多くのスタッフやアーティストですべてが出来上がっていた。
すでにある音響、いただいた時間枠内で演奏をさせてもらった。
しかし今日はまったく一からのスタートだ。
今ある状況とその情報、Sさんは現地と打ち合わせを進めてきた。

車内は4人。
「こどもの森」でずっと一緒だった音響のS君。
そしてイベント会社のSさんと長い付き合いでレンタル屋をやっているMさん。
たった4人だが、イベント中ずっと一緒だっただけあって、
すでに信頼関係はできている。

皆、それぞれ未曾有の事態で何か力になりたいと思っていた。
しかし、被災地に行くことだけが「する」ということではない。
車に乗る面子は他のポジションで支えていた人たちだった。

今回、音響さんは的確な音響機器を、
レンタル屋さんはそれに適切な発電機と車を、
プロが選んだそれぞれの道具と技を持参で被災地に挑む。

「たぶん被災は昨日よりも大きいですよ」とS氏。
何度か山を越え、1時間半ほど進むと宮古市の沿岸に到着、
昨日見た光景が広がっていた。
山田町は宮古市から20キロほど南下したところにあり、
宮古湾へと流れる川に沿って、さかのぼる形でさらに進む。
今、乗っている車と同じ方向へ津波が押し寄せ、川が氾濫したのだろう。
背筋がぞっとした。

川の陸地には引き波によって持っていかれた車やがれきが見える。
周辺も被災の跡が生々しい。
さらに40分ほど車を走らせ、山田町に到着した。

会場は地面から十数メートルの高台、芝生が植えられた広場になっている。
そこに立つ鉄のポールは折れ曲がっており、高台でも波が来たことを知らせている。
ここは周りの景色を一望できる、最高の場所だったのだろう。
しかし今、その景色は被災地を知らしめる場所になってしまった。

広場には小さなステージが組んであり、
その上にはコンパクトなカラオケ機器が置いてあった。
社会福祉協議会のボランティア・スタッフ、
炊き出しの準備をしている人や、ステージ前にベンチを並べている人、
少し早い目に来ているお客さんも結構いるようだ。

岩手県に来てからというもの、天気はずっと不安定だった。
晴れたり曇ったりを繰り返して、突然雨が降ってきたりする。
相変わらず風は強いが、今日は快晴。
一番の天気になった。
荷物を降ろし終えた俺たちは、全員で挨拶に行った。

ここ山田町は被災者が先頭で仕切っている。
 へえ! そうか! あんたが大道芸するのか~!
 いや、これすげえんだって。
 一人で全部やっちゃうんだもんな~ そりゃあいいよ!
 やっちゃって、やっちゃって、盛り上げてってよ!
 みんな頑張ってっからさ。
 俺、やなんだよ。
 この町が湿っぽくなっちゃうの。仕方ないんだけどさ~。
 津波で何にもかも無くなっちゃったんだけど、
 心まで被災しちゃ絶対にいけないから!
 うん、良い、良い!
 何かあったらなんでも言ってよ、盛り上げていこうよ!

まずワンマンバンドを知っていることに驚いたが、
それ以上にこの人の熱さに圧倒される。
俺たちの方が気を遣いすぎて、心が被災しているかもしれない。
町を盛り上げていこうとする決意がそこに見えた。
そしてそれは人の心を打つ。
芸を持って、愛だの平和だの言って、
着飾る安っぽい俺が浮き立って見える。

人を動かしているのが、被災者の一人。

でもそれが最も好ましいのかもしれない。
被災地には彼がどれほど心強い存在か。
それを目の当たりにした気がした。







3/5に続く……。



岩手慰問ライブ 1/5 過去最長文です。

  • Post on 2011.05.10 10:18
  • Categry : 慰問
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  • Comment(3)
最初に……、

ブログにしては、ありえんくらいかなり長くなってしまいました。

ワードで書いてたら、A4が10枚ほどになってしまった……。

気が引けて画像もほとんど撮ってないから、

途中で面倒くさくなったらごめんなさい。

でも、本当に色んな事を学びました。

今日から5回に分けてアップします。

それではどうぞ。





慰問報告1日目

朝、8時に盛岡を出発して2時間、大船渡市三陸町起喜来(おきらい)に到着。
交差点を曲がるとそこには何もない風景が広がってた。
がれきの山が見える。
一瞬、ギクッとしたあと、足がすくむ。
ここに釣り具屋があったんですよ。良い釣り具屋だったんだけどな。とS氏
そんな話をしながら、がれきの中を5分ほど走ると今日の慰問会場、復興食堂に到着した。

この復興食堂、開店するのは今日で4度目とのこと。
一か所でやっている炊き出しとは違い、各地を転々としながらライブも行っている。
今回の会場は建物が残っていた元ドラッグストア、幾つか補修した跡も見受けられた。
会場内外では岩手のひっつみ汁、ラム肉のバーベキュー、
バザーやリフォームの相談室、もちろんビールも出ているようだ。

今日の出演は松本哲也さん、落語家の桂枝太郎さん、俺の3人。
11時半、全スタッフで顔合わせ、それぞれ挨拶をした。
みなさん気合いが入ってるが、それほど堅苦しい雰囲気はない。

12時、復興食堂開店。
お客さんが入ってきた。
さほど多いようには感じなかったが、少ないわけでもない。
みなさんテーブルに座っておいしそうに食べている。

13時、俺のステージが始まった。
客席に背を向けてギターをセッティングしていると「すごいね」って声が聞こえた。
その言葉に振り返って、ホイッスルを鳴らすと笑って返してくれる。
準備が整い、気ぐるみを着たが30代の男性司会者が紹介してくれた。
ただ紹介するその声はおっさんそのものだ。
思わず吹き出してしまう。
そんなゆるい感じがまた良い雰囲気を作っているのかもしれない。

今日はいつもどおり演奏すると決めていた。
変に力が入って復興とか、頑張ろうとか、別に意識することも言うこともない。
いつもどおりにやろう。
感動の涙よりも、一時の安らぎ。
そして曲が始まった。

反応、
うん、悪くない。
手拍子や拍手も思った以上にもらえてる。
お客さんも一緒になって叫んでる。
いつの間にか空いていた目の前のテーブルが埋まってた。
その顔は笑ってる。
いつものように「見上げてごらん夜の星を」のネタで、夫婦を選び、手を繋いでもらう。
チュッ…。とまではいかなかったけど、その家族への拍手も大きい。

シャボン玉がでた。
演奏しながら見ているとみんなの顔がすこし驚いて、その後小さなほほえみに変わる。
大きな驚きやでっかい笑いでもない、この「すこし」の変化がたまらない。
それは何度見ても、ささやかで適度の幸せを与えてくれる。
やっぱり今日もその反応。
そして曲が終わった。

ありがとうね。
帰る背中に拍手が聞こえる。
もう一回振り返っておどけて見せた。
笑ってもらえて本当に良かった。

1ステージ目を終え、トイレに行こうとするが、会場にはない。
15分ほど歩いてローソンへ。
車で見た以外の景色があるのに気付く。
起喜来という地名だけに「ここがオキライですか?はいでも大好きだよ!」の看板。
幾つもの写真や絵が飾ってある。

110507_1426~0001

110507_1426~0002










途中通りがかったガソリンスタンド跡地に看板が掲げてあった。
被災者かボランティア・スタッフなのかは分からないが、
復興に携わる人たちの有志が写真に収められ、看板に貼り付けてある。
こどもたちの絵が飾ってある。
鼻先に何かツンとしたものを感じた。
画用紙から色がいっぱい溢れそうなほど、本当にたくましい絵だった。
どんなアーティストでも及ばない、力強い絵。
希望が満ちている。
台に置かれた、口の空いたお菓子は「良かったらどうぞ」と言っている。
みんな幸せを求めて進んでいる。
すこしずつ、小さな一歩を出しているのだ。

2ステージ目が始まった。
お客さんの数はぐんと減り、弾き語りっぽく始めた。
途中、盛り上がるような曲を演奏してみる。
笑ってくれていた方も見えたが、食べるだけが目的の方や、
疲れの色が見えるお年寄りの顔もチラホラ。
パフォーマンスが押し付けがましくなっては、と少し早めに終了した。
「しないこと」も「する」ことのひとつなのだ。

岩手のひっつみ汁を出しているおばあちゃん、握手した手が離れない。
実は同じ大学だったラム肉を焼く大将、かなりの量を提供している。
今俺が住んでいる半田市出身のお母さん、がれきの中でローカル話に花を咲かせた。
マッサージする人や、衣服を提供するボランティア・スタッフ。
カメラマン、イベント会社、音響、司会者、店長、演者。
みんなと話してると楽しんでやってるのが分かる。
それが伝わってるからお客さんも笑ってる。
良い食堂だね。
また今度は朝までいたくなるような、そんな食堂でした。





2/5に続く。


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